愛のひだりがわ

愛のひだりがわ (新潮文庫)愛のひだりがわ (新潮文庫)
(2006/07)
筒井 康隆

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近未来の日本。
警察はほとんど役に立たず、地域で武装した自警団をつくり身を守っている暴力的な世の中。
母親を亡くし、居場所をなくしてしまった12歳の愛は、父親探しの旅に出ます。
住み込みで働いていた飲食店の人たちからはずっとひどい扱いを受け、母のためていたお金も取り上げられてしまっていたのですが、愛はある日お店の金庫からお金を奪い、服やお弁当、父親の写真などをデイパックに詰め、旅立ちます。
左手の不自由な愛の左側を、野良犬のデンが歩いていきます。
愛は犬と話ができる不思議な力を持っていました。
行く先々で起こる事件を出会った人たちと乗り越えながら、愛は成長していきます。

読みながら、私もこんな小説が書きたいと思いました。
傑作です。

テーマ : ぐっときた本 - ジャンル : 本・雑誌

修羅維新牢

修羅維新牢―山田風太郎傑作大全〈3〉 (広済堂文庫)修羅維新牢―山田風太郎傑作大全〈3〉 (広済堂文庫)
(1996/06)
山田 風太郎

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官軍が我が物顔で闊歩する明治元年の江戸。
何人もの薩摩兵が惨殺される事件が起きます。
激怒した東海道先鋒隊長中村半次郎は、それが徳川の侍によるものと判断し、下手人が見つかるまで、手当たり次第に旗本を十人捕まえて処刑することを決めました。
物語は、十人の旗本が官軍に捕らえられるまでのそれぞれの人生を描いてゆきます。
苦労してようやく侍になったばかりの百姓や、大義に燃える若者、陰間買いだけに興味を持つ半白痴、死にたくて仕方が無いのになかなか死ねない男、などなど。
さまざまな事情を抱えた侍達の人生が、官軍の「屯所へ来う」のひとことでぷっつりと切れてしまいます。
牢に入れられた彼らは果たして助かるのか、それとも…。

旗本一人一人の物語がそれぞれ短編小説としても充分おもしろいです。
有名人は、勝海舟がちらっと出てきます。

テーマ : 歴史・時代小説 - ジャンル : 本・雑誌

ロートレック荘事件

ロートレック荘事件ロートレック荘事件
(1995/01)
筒井 康隆

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数々のロートレックの絵が飾られた別荘で、銃殺事件が起こります。
それにはとても悲しい理由がありました──。

筒井康隆の数少ないミステリ作品のひとつです。
小説だからこそできる巧妙なトリックが仕掛けられています。
読み終わったら、きっともう一度最初から読み返したくなるはずです。
なんとなく、綾辻行人が好きな人は、これも好きなんじゃないかなと思います。

テーマ : 推理小説・ミステリー - ジャンル : 本・雑誌

痩せゆく男

痩せゆく男 (文春文庫)痩せゆく男 (文春文庫)
(1988/01)
リチャード・バックマン
真野 明裕 訳

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ある男が自らの不注意でひとりのジプシーの老婆を自動車で轢き殺してしまいます。
しかし裁判では彼の社会的地位の馴れ合いから罪を免れます。
ところが彼はジプシーの呪いをかけられて日に日に痩せていくのです。
裁判を担当した判事も体中に鱗のようなものができてゆき、その他周囲の人たちも呪いに飲み込まれていきます。
際限なく痩せていく男は何とか呪いを解いてもらおうとジプシーたちの元を訪れるのですが…。

作者名はリチャード・バックマンとなっていますが、これはスティーヴン・キングの別名だそうです。
作品の雰囲気もキング名義のものとは若干違うようです。
絶叫ホラーではなくて、じわじわと怖い感じです。
ずいぶん前に映画化もされたようなので、一度観てみたいなと思っています。

テーマ : ホラー - ジャンル : 本・雑誌

青春探偵団

青春探偵団―山田風太郎傑作大全〈10〉 (広済堂文庫)青春探偵団―山田風太郎傑作大全〈10〉 (広済堂文庫)
(1997/01)
山田 風太郎

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個性的な高校生の男女6人組「殺人クラブ」が探偵となって、次々と降りかかる難事件を解決していく、6編からなる連作短編集。
「殺人クラブ」とは、町はずれの高校の寮生男子3人女子3人で結成された、探偵小説愛好会のようなもので、読んだ小説の批評をしたり、ちょっとした悪巧みをするという小さなクラブ。
ひょんなことから巻き込まれてしまった殺人事件や、発覚すればあわや退学という自分たちの悪事を、それぞれの個性を活かして奮闘解決します。

とにかく「時代が古い」ということを覚悟して読まなければ、何なのこの子達は…と思ってしまうような行動や発言に面食らってしまうかもしれません。
文庫のはしがきによれば、昭和34年に刊行された本に昭和44年に書かれた1編を追加収録したものだそうで、かれこれ40年以上前の世俗が反映されているわけです。
たばこを「のむ」と表現する時代です。
「シスターボーイ」なるものが存在した時代です…。
まあそれに慣れてしまえば、なかなか小気味よいです。

テーマ : 読んだ本。 - ジャンル : 本・雑誌