コミック 文体練習
![]() | コミック 文体練習 (2006/09) マット マドン 商品詳細を見る |
1つの短いエピソードを99通りの方法で表現するという、実験コミック。
もともと、1つのエピソードを99通りの文体で書いたレーモン・クノーの「文体練習」という本があり、それをコミックでやるとどうなるか、というのがこの本。
「ひな形」のコミックは、1ページで8コマ。
「ノートパソコンで仕事をしていた男が手を休め、部屋を出る。
するとパートナーの女に時間を訊ねられ、男は腕時計を見て答える。
そして男は冷蔵庫の中を覗き、自分は一体何を探していたのか考え込んでしまう。」
内容はこんな感じです。
それを有名コミック風にしたり、視点を固定したり、セリフを入れ替えたり、1コマで表したり…。
考え付く限りの方法で”アレンジ”されていきます。
美術学校の参考書にでもなりそうな本です。
愛のひだりがわ
![]() | 愛のひだりがわ (新潮文庫) (2006/07) 筒井 康隆 商品詳細を見る |
近未来の日本。
警察はほとんど役に立たず、地域で武装した自警団をつくり身を守っている暴力的な世の中。
母親を亡くし、居場所をなくしてしまった12歳の愛は、父親探しの旅に出ます。
住み込みで働いていた飲食店の人たちからはずっとひどい扱いを受け、母のためていたお金も取り上げられてしまっていたのですが、愛はある日お店の金庫からお金を奪い、服やお弁当、父親の写真などをデイパックに詰め、旅立ちます。
左手の不自由な愛の左側を、野良犬のデンが歩いていきます。
愛は犬と話ができる不思議な力を持っていました。
行く先々で起こる事件を出会った人たちと乗り越えながら、愛は成長していきます。
読みながら、私もこんな小説が書きたいと思いました。
傑作です。
修羅維新牢
![]() | 修羅維新牢―山田風太郎傑作大全〈3〉 (広済堂文庫) (1996/06) 山田 風太郎 商品詳細を見る |
官軍が我が物顔で闊歩する明治元年の江戸。
何人もの薩摩兵が惨殺される事件が起きます。
激怒した東海道先鋒隊長中村半次郎は、それが徳川の侍によるものと判断し、下手人が見つかるまで、手当たり次第に旗本を十人捕まえて処刑することを決めました。
物語は、十人の旗本が官軍に捕らえられるまでのそれぞれの人生を描いてゆきます。
苦労してようやく侍になったばかりの百姓や、大義に燃える若者、陰間買いだけに興味を持つ半白痴、死にたくて仕方が無いのになかなか死ねない男、などなど。
さまざまな事情を抱えた侍達の人生が、官軍の「屯所へ来う」のひとことでぷっつりと切れてしまいます。
牢に入れられた彼らは果たして助かるのか、それとも…。
旗本一人一人の物語がそれぞれ短編小説としても充分おもしろいです。
有名人は、勝海舟がちらっと出てきます。
サイエンス・ミレニアム
![]() | サイエンス・ミレニアム (1999/12) 立花 隆 商品詳細を見る |
10年前の本ですが、今読んでも「へえ!」と思うことばかりでした。
1998〜1999年の最先端科学対談集です。
立花隆が各分野の最先端の研究者と、今までの成果、現状、これからの課題を語り合います。
・ニュートリノの正体──戸塚洋二
→カミオカンデの役割と宇宙の物質の構成について。
ニュートリノが何種類もあるということを知りませんでした…。クォークとかレプトンとか、「弱い力」とか「強い力」とか、その辺のことは今もあまり研究が進んでいないような感じです。
・性転換最前線を行く──原科孝雄
→性転換手術の手法と性転換症の診断について。
性転換の具体的な手術方法の説明が勉強になりました。性同一性障害の患者が手術を受けられるまでの道のりはたいへんなものなのですね…。
・鯨衛星──原友直
→衛星設計コンテストで学生が設計した「鯨生態観測衛星」打ち上げ直前のインタビュー。
当時ニュースで流れていたのを憶えています。H2Aで打ち上げるADEOS-IIに相乗りする小型衛星を公募したという話。後日談が知りたいです…。
・地球史46億年を解読する──熊澤峰夫
→地球がどのように作られていったのか。地球の運動「プルーム・テクトニクス」について。
初めて知りました、プルーム・テクトニクスという言葉…。私の頭はプレート・テクトニクスで時が止まってました…。話はマイクロメートルの世界からマゼラン星雲までととても広大。「地球史解読」、なかなかおもしろいです。
・遺伝子でさぐる脳形成の謎──堀田凱樹
→脳がどのようにして作られるのか。遺伝子の中のスイッチを探す研究について。
脳細胞は死んでいく一方というのは間違い! 中枢神経にも分裂能を残した幹細胞がちゃんとあるそうです。10年経った今、医療現場にどれくらい役立てられているのか気になるところです。
・脳を侵す環境ホルモン──シーア・コルボーン
→内分泌攪乱化学物質が与える脳神経系への被害とそれによる知能低下が引き起こす社会損失について。
最近は「環境ホルモン」という言葉をめっきり聞かなくなってしまいましたが、今も問題になっている「学級崩壊」はまさに環境ホルモンの影響ではないか、という衝撃的なお話です。
ロートレック荘事件
![]() | ロートレック荘事件 (1995/01) 筒井 康隆 商品詳細を見る |
数々のロートレックの絵が飾られた別荘で、銃殺事件が起こります。
それにはとても悲しい理由がありました──。
筒井康隆の数少ないミステリ作品のひとつです。
小説だからこそできる巧妙なトリックが仕掛けられています。
読み終わったら、きっともう一度最初から読み返したくなるはずです。
なんとなく、綾辻行人が好きな人は、これも好きなんじゃないかなと思います。
テーマ : 推理小説・ミステリー - ジャンル : 本・雑誌






